シェイクスピア別人説をめぐる諸説
イギリスの劇作家ウィリアム・シェイクスピアの名で発表された戯曲・詩の真の作者をめぐる論争。1592年に劇作家ロバート・グリーンが遺作の中でシェイクスピアとみられる新進劇作家を揶揄したのが、彼を劇作家として記した最古の記録の一つとされる。シェイクスピアの学歴や経歴について確実な史料が乏しいことなどから、19世紀以降、実際の作者は別人ではないかとする「シェイクスピア別人説」が唱えられてきたが、学界では今日もストラトフォード・アポン・エイヴォン出身の本人による著作とする見方が圧倒的多数を占めている。
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ストラトフォード・アポン・エイヴォン出身の俳優兼劇作家ウィリアム・シェイクスピア本人が作者であるとする説。同時代の劇作家ベン・ジョンソンらの証言、戯曲表紙に記された作者名、1623年刊行の「ファースト・フォリオ」で盟友の俳優ヘミングズとコンデルが彼を追悼して編纂した経緯など当時の記録による裏付けが多数存在し、文体計量学の分析でも一貫してシェイクスピア作とされている。文学史・シェイクスピア研究の学界における圧倒的多数派の見解である。
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第17代オックスフォード伯エドワード・ド・ヴィアが真の作者であるとする説。1920年にジョン・トマス・ルーニーが著書「シェイクスピアの正体」で提唱し、以後、別人説の中で最も広く支持を集めてきた。宮廷政治や貴族社会に通じた作品内容が伯爵の経歴と符合すると主張されるが、ド・ヴィアは1604年に死去しており、それ以降に成立したとされる複数の戯曲との整合性が課題として指摘されている。
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哲学者フランシス・ベーコンを作者とする説(1856年提唱)や、劇作家クリストファー・マーロウが1593年の死を偽装して執筆を続けたとする説など、複数の別人説が19世紀以降唱えられてきた。しかしいずれも同時代の直接的な文書証拠を欠き、文体計量学的な分析でも候補者の現存する著作とシェイクスピア作品の文体は一致しないとされ、主流の学界からは根拠に乏しい少数説として扱われている。
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