ジャンヌ・ダルクが聞いた「声」(啓示)の正体をめぐる諸説
フランスの国民的英雄ジャンヌ・ダルクは、大天使ミカエルや聖女たちの「声」に導かれて挙兵したと自ら証言した。この体験を信仰上の啓示として尊重する伝統的な理解がある一方、近代以降はてんかんや統合失調症などの精神医学的説明、結核性髄膜炎等の身体疾患説も提示されてきた。ただし後世の回顧的診断はいずれも確定的ではなく、学術的な結論は出ていない。
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ジャンヌ自身は異端審問において、大天使ミカエル、聖カタリナ、聖マルグリットの声を聞き、その導きによってフランス救済のため王太子シャルルを助けたと証言した。この体験は当時の教会や後の名誉回復裁判(1456年)でも重んじられ、歴史学でも彼女が語った信仰体験として尊重的に扱われる、最も伝統的な理解である。
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20世紀後半以降、神経学や精神医学の立場から、ジャンヌの声や幻視を側頭葉てんかんや統合失調症など後世の診断名で説明しようとする研究が複数発表されてきた。ただし当時の記録のみに基づく回顧的診断であるため確定はできず、研究者間でも具体的な診断名は一致していない有力な異説である。
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声や幻視の原因を、牛型結核による脳への感染や結核性髄膜炎など身体的疾患に求める仮説も一部の研究者から提示されている。医学誌『ニューロサイコバイオロジー』掲載論文は慢性結核への罹患説に異議を唱えており、てんかん説・統合失調症説に比べ学術的な支持は限られた少数説である。
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