『サルバトール・ムンディ』は真にダ・ヴィンチの真作かをめぐる諸説
『サルバトール・ムンディ』は2017年にニューヨークのオークションで史上最高額となる約4億5030万ドルで落札され話題を呼んだ絵画である。レオナルド・ダ・ヴィンチの真作として落札されたが、専門家の間では真贋を巡る議論がそれ以前から続いている。全体をレオナルド自身の手によるものとする見方、工房の弟子(ボルトラフィオやサライ)との合作とみる見方、後世の過度な修復によって当初の質を判断すること自体が難しいとする見方が併存する。
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美術史家マーティン・ケンプらは、絵の中に見られる筆致の描き直し(ペンティメンティ)や渦を巻くような髪の表現、ルーヴル美術館の科学調査で確認された素描線の特徴が1500年以降のレオナルド作品と共通すると指摘し、本作を真作と評価している。2017年の落札時にオークションハウスもこの立場を採った。
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美術史家カルメン・バンバックは、キリストの右手や袖の一部などレオナルド自身の筆と見られる箇所がある一方、大部分は弟子ボルトラフィオの手によるとみる。ジャック・フランクも手の描写や鼻の形状などを根拠にサライとボルトラフィオの合作と主張するなど、工房での制作を重くみる研究者も複数存在する有力な異説である。
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美術史家フランク・ツェルナーは、本作が繰り返し過剰な修復を受けたため当初の質を評価すること自体が極めて難しいと指摘し、レオナルドらしく見える部分の多くは修復家の手によるものだと述べる。チャールズ・ホープも修復によって顔の印象が大きく変わっていると厳しく評しており、真贋の確定自体に懐疑的な少数派の見方も存在する。
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